保命酒(ほうめいしゅ)

備後の特産品・名産品

保命酒

保命酒は古来瀬戸内の重要港であった鞆の浦(広島県福山市)で江戸時代初期に誕生した薬味酒です。もち米をベースとしたみりん酒に桂皮など16種類のハーブを漬け込んだお酒で、酒類の分類ではリキュールに該当します(アルコール分14%)。

保命酒と書いて「ほうめいしゅ」と読みます。古い文献では「芳命酒」として登場する場合もあります。名前の語源には諸説ありますが、「延命保寿」の意から「保命酒」と呼ばれるようになったとされる説がもっとも有名です。

起源について、大阪の漢方医の子息・中村吉兵衛という人が、鞆の津(鞆の浦)で造られていた「吉備のうま酒」というお酒に出会い、現在でいうみりん酒のようなこのお酒に中国産の生薬を漬け込んだのが始まりとされています。

以降、鞆の浦に移り住んだ中村家は現・太田家住宅の場所に居を定め、この地にて保命酒(当時の名称は十六味地黄保命酒)造りを始めることとなります。

江戸時代、保命酒は福山藩の庇護を受け、藩の御用酒、備後の特産品として全国にその名を広めました。幕末には黒船来航で知られるペリー提督一行の饗宴の際、食前酒として用いられたことでも有名です。

保命酒にはヒトの必須アミノ酸9種類がバランスよく含まれています

保命酒は桂皮などの薬味16種をみりん酒に漬け込み、じっくりと成分を抽出させて造り出されます。

麹の糖化力によって米の旨みを充分に取り出し、米由来の甘みと浸透圧がかかることによりエキスが抽出されます。

これに含まれる必須アミノ酸9種類(※)を含む18種類のアミノ酸はコクを与えてくれるばかりでなく、身体に嬉しい成分であることが知られています。これにはベースとなる良質のみりんを造ることが何より欠かせません。

※必須アミノ酸9種類・・・リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、スレオニン、トリプトファン

保命酒の飲み方についてですが、食前酒、食後のデザート酒として、シェリーグラス並みの小さめなグラスで軽く1杯またはお休み前におちょこで1杯、といった飲み方が著名です。

ただ近年では、その独特な甘みと成分に注目が集まっており、料理やお菓子作りの原料として和・洋問わず利用されるなど用途が広がってきています。