保命酒とはどう読みますか? また、どのようなお酒ですか?
保命酒と書いて「ほうめいしゅ」と呼びます。「ほめいしゅ」と呼ばれる方もいます。
(画像は岡本亀太郎本店「保命酒」500ml)
保命酒は、桂皮など16種類のハーブ(薬味)を良質のみりんに漬け込んで作る薬味酒です。
味はみりんの深みある甘さの中に16種ハーブの味・香りを封じた印象で、初めて飲まれる方はその独特な風味に驚かれることも多いですが、飲み慣れると実にクセになる味わいのお酒です。
海外、特にヨーロッパの方が飲まれると、シャルトリューズ(フランスを代表するリキュールの一つ、リキュールの女王とも。一言でいうと薬草を漬け込んだお酒)に少し似ている、との感想をいただくことがあります(※)。
※ただし、シャルトリューズは「ブランデー(果実酒由来)」がベース、保命酒は「みりん(米由来)」がベースです。また、漬け込むハーブの数も保命酒が16種なのに対し、シャルトリューズはなんと130種。興味のある方はシャルトリューズというお酒についても調べてみてください。
酒類の分類としてはリキュールで、アルコール分は約14%。ストレートやロックといった飲み方はもちろん、カクテルの原料の他、おもに製造地である広島県福山市の菓子メーカーを中心として保命酒の持つ自然な甘みを活かした菓子作り(製菓原料)に多用されています。
ちなみに、保命酒は「薬用酒」に分類されません。そのため現代では薬効成分が一切うたえません。
が、米由来の多アミノ酸が豊富に含まれており、健康酒として長年親しまれてきたお酒でもあります。
保命酒の発祥は江戸時代
保命酒は江戸期の鞆の浦(鞆町)に発祥の起源を持つお酒で、350余年の歴史を持つ日本最古級のリキュールとしても知られています。
食文化が現代のように豊かではなかった時代には保命酒の持つ豊かな甘味と薬効が大変貴重がられ、備後福山藩(現在の広島県福山市)の御用酒として隆盛を極めました。
現在、鞆の浦に残る保命酒醸造元は4社。保命酒は蔵元により味も外装も若干異なるため、鞆の浦観光では蔵元各社を巡る保命酒飲み比べが人気ルートとなっています。